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◆2月半ばの馬鹿陽気で桜も最速で開花かと思いきや、彼岸の中日には雪交じりの冷たい雨が降り、
身も花芽も凍えた。天気の事はホントにお天道様しか分からないと実感する。氷雨続きのこの3月の
下旬だったが、月末になってようやくセンターのソメイヨシノも開花し出した。エコーの活動は、10日に
東山のヒノキ林で林床整理を、16日の節句山は南側斜面下部のアラカシなど常緑高木の伐採を、年度末と
なる〆の広場での活動は、23,24日と連日の降雨に見舞われ、一区切りをつける事が出来なかったのは
残念だった。
◆14日の東山の活動中、猟師の人が、珍しく、同年代の男女二人組で現れたので少し話を聞いた。今日はまだ合法的な猟期で、イノシシ狙いだと言う。最近は、イノシシの数も、豚熱以前の水準に戻りつつある様だ。正直、やはりシカよりイノシシを
仕留めた時の方が嬉しいと言う。ここ3年程はイノシシのお留守でシカの独り勝ち状態だったのだが、イノシシの数の回復に、
五月山のシカの動向はどう変化するのだろうか?
◆月末に杉ケ谷コースを歩いたが、この時期になっても園路脇の林床には、殆ど花らしい花も咲いておらず、未だ冬枯れ
状態であった。本来なら、ナガバタチツボスミレやヤマネコノメソウの花に出会え、タニギキョウなども芽吹いてきている
はずなのだが?居座る余寒のせいか?◆目立つのはシカの食害による、見通しの良い林床ばかりだ。降雨による土砂流失で、
ガレ場状態と化してしまっている箇所も増えている。この月末も降り出しから75mmを超える、春先としては、雷を伴った
かなりの大雨に見舞われ、3日経ったこの日もまだ出水が止まらず、一部の園路では川の様に水が流れていた。
◆関西空港連絡橋に被害を出した、あの強烈台風の暴風で、杉ケ谷コースの樹冠がなぎ倒されて開いたギャップの地面に、
雨滴が直撃する場所などは荒れ方も激しく、以前とは別の場所の様になっている。シカ激増と気候変動のダブルパンチで、
一度まとまって雨が降る度に、表土が流れて園路を覆い、山側に土留め柵を施さなければ通りにくくなる箇所も増える。
そして乾燥化もさらに進み、近頃はシカが食べないカナワラビ類などのシダ植物の繁茂にも影響を及ぼしているとしか
思えない程、とにかく地面を覆う植物が少ない!今日この頃なのだ。ひょうたん島コースなど他のコースも似たような状況だ。
◆暖かくなり、動き出すはずの訪花性のハチやハナアブ類などの昆虫にも今日は出会っていない。昆虫減少は世界的に
懸念されているが、ここでは、テングチョウ1頭に僅かに出会っただけだった。ウグイスが鳴いたのは、たったの1羽、
ヤブサメも一羽と、鳥も少ない。モニ1000調査で長年足しげく通うこの道のこの状態に、得体のしれない何か不気味さを
感じる、今の山の現状だ。一度バランスを崩した自然は何処へ向かうのだろうか?(中川勝弘)
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