今カケスが早くも山から飛んできた編
すっきりしない天候が続く10月。23日の定例活動は、「里山あそび隊」とのジョイントとなった。今回はどんぐりを使ってのクラフトに挑戦していたが、今年はどんぐり類が不作でその材料集めには苦労した様だ。去年は見られなかったカケスが、今年はもう早々と姿を見せており、こちらの方もどこも不作で方々探し回っているのかもしれない。そう言えば、柿も今年はあまり目立たず不作のような気がするし、どうやら森の動物にとって今年の冬越しは厳しいものになりそうだ。
この10月、名古屋の街だけが、国連の生物多様性条約第10回締結国会議(COP10)開催で賑やかだった。会場となる名古屋国際会議場前の広場では、生物多様性交流フェアが期間中催されており、200を超える政府機関、地方自治体、大学や研究機関、NGO,NPOなどの市民団体や企業などが一同にブースを並べて市民にアピールしていた。
24日にちょっと覗いてきたが、その印象は、政府機関のブースは場所も広く、立派な展示を設え、分厚いフリーの資料が並べてあり、確かに見やすく分かりやすいが、どこか教条的、総花的で現実味の薄いものに映る、その反対に市民団体のブースは「ヤンバルクイナを守れ」「トヨタの巨大な新テストコース造成で国内に1000羽しかいないミゾゴイの生息地が奪われる!署名を」と(その為か地元なのにこの会場にトヨタの文字はなく)極めて現実的なものが多い、その調整役としての地方自治体の役割、手腕が問われていく事になるのだろうが???そう言えば会場に大阪の文字は一つも見当たらなかった???
さて、今回の会議で採択された議題の中に、SATOYAMAイニシアティブがある。人と自然との関わりをかつての日本の里山から学び、その考え方を国際基準にしていこうとするもの。その指針は、里山の伝統的な知恵やその社会のあり方を科学と融合させて多様な生態系を保全していく、そんな社会を目指すという。
「Aiming at realizing societies in Harmony with nature」と英文ではタイトルされているが、この方がよくニュアンスが伝わる気がする。その為に日本が率先し、国際的なパートナーシップを構築していくらしい。いよいよ里山も国際化の時代を迎える様だ。その趣旨には大賛成、でもその里山が本当に自然と共生のシステムであったか、それは議論となる処だろう。近頃里山を美化しすぎるきらいに素直に喜べない。
会議を見ていて、生物資源利用に見られるような先進国と途上国の利害が絡んだむき出しの対立、この構図は地球温暖化会議と同様、その根底にある南北格差の問題が大きな障害だが、論争の行き着くところは「マネ マネ マネー」、結局人間中心で、誰の為の会議なのかと、会議の本質から離れた同床異夢、呉越同舟の空論に憤りを隠しえない。こうしている今も地球上から罪無き生き物がまたひとつ消えていっているというのに…。(中川勝弘)